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2007年11月03日

会計事務所 製販分離への挑戦 -3(最終回)-

顧問先が感動する付加価値とは!?「潜在要求」に対応した商品開発を

 第2回目に、「記帳入力」「試算表作成」など「製販」のなかでも"製造"の部分を担当者から切離すことで、事務所業務が効率化することを指摘しました。最終回となる今回は、「製販」の"販売"の部分を効果的にするためのポイントを披露します。

多くの時間を取られていた"製造業務"が担当者の手から離れたら、当然、その分の時間が空くことになります。もし時間がないということであれば、おそらく完全に工場への移管ができていないか、"業務"ではなく何らかの"作業"(しかも顧客が要求していない)を行なっているせいでしょう。

さて、空いた時間をどのように付加価値の拡大に努めるかを検討しなければならないが、そのベースとなるのが"顧客要求"。どのような商品、サービスでも、顧客要求があるから"売れる"わけであり、要求していないものは決して売れません。

この場合の要求には2種類ある。「顕在要求」と「潜在要求」です。当然のごとく、顕在要求を優先し、空いた時間を活用して応えていく必要があります。最近の一般的な中小企業の顕在要求としては、どうも労務や資金であったり、経営に活かせる情報であったりするようです。
製販分離後の担当者の役割

こうした経営者のニーズを充足させるものを発見し、加工し、見栄えを良くして提供することが月次担当者の必要不可欠なスキルとなります。このような活動を通常は【商品企画化】と言います。製販未分離の状態でも、おそらく多くの担当者の方は、忙しいなかでそうした要求への対応をしているのではないかとは思います。しかし、いかんせん時間がなく【商品企画化】が実現できていないので、社長にありがたみがない⇒お金をもらえない⇒無償サービスになっている……という現実があるのではないでしょうか? 

従いまして、製販分離が実現できた際の従来の月次・決算担当者の役割は、市場調査と商品企画を研究し実践することだといえます。そのためにも、従来のようにひとりの方がすべての顧客要求を個別で情報収集したり研究したりする方法はムダを招くため、ベースとなる"会計、税務(法人・所得)"以外の分野は責任担当制として情報の収集・分析・加工を行い、それを所内で活用していける"組織"を目指す必要があります。たとえば、業務系でいえば資産税や労務、経営計画、FPなど、業種系でいえば医療や建設、公益法人、運送などです。

ある事務所で顧問先社長の要求を調査したら、次のような要求が多数を占めました。「わかりすい説明」「ビジュアル化された資料」「すばやい情報提供」「独自の分析資料」「文章での報告・提案」「業務価格表の公開」「定期的な有資格者との面談」「リアルタイムでの遠隔相談(スカイプ利用など)」……具体的で詳細な要求から、漠然とした要求までさまざまあるが、このような顕在要求をひとつずつ実現し"提案"していくことが、付加価値向上の第一歩となります。まずはこの状態を実現していただきたいと思います。

社長の本音を聞き出し商品化
次に求められる役割は「潜在要求」の調査・把握です。「本来あの社長にはこのようなサービスが必要なのに」「このようなサービスを受ければもっと経営が良くなるのに」という例はないだろうか? このように相手は気付いていないが必要であろう商品企画の元になるのが「潜在要求」に対応した商品企画化です。ただし、きちんと調査してお客様の声をベースに商品化を進めないと、実際に先方では活かされず、単に自己満足の潜在要求の商品化となりがち。必ず本音を調査することが重要です。

これらのいわゆる"サービス業務"の提供で非常に重要になってくるのが、【ビジネスマナー】や【応対力】、さらには【ヒアリング能力】。製販未分離の状態では、まずは一人前の職人になることが重要視され、こうしたスキルに時間やお金を投下している事務所は少なかったようです。しかし"組織化"が実現できた場合には、"販"担当の方はどんなにベテランであっても最初から学んでほしいです。担当者としても事務所としても、最終的には顧問先経営者が感動し、感謝してくれるサービスの提供が事務所改善を後押ししてくれるはずです。顧問先発展のため、事務所の発展のため、自身の生活向上のために"製販分離経営"にチャレンジして、事務所の組織化を実現していただきたいと存じます。
(おわり)

イプシロン
posted by イプシロン at 08:41 | 会計事務所製販分離への挑戦 | 更新情報をチェックする